これからの人生を愉しんでいただくために、
寄り添い、ともに歩みつづけます。
「前は使い慣れたミシンと古い着物の布で色々作って過ごしていたが、
こちらにミシンは持ってこなかったし、やろうと思う気力もない。
家族が新しいミシンを送ってくれたが、使い方がよくわからない。針も折れてしまって…。」
とおっしゃるご入居者。
グランクレールでの新しい生活に馴染めず、気分が落ち込んでいる様子でした。
お部屋にうかがい針を交換し、使い方を一緒に確認してから数日後、
ご子息が織られたという素敵な布で作られた手提げ袋を見せてくださいました。
「おかげさまでミシンが使えるようになってうれしい、また裁縫を始めようと思う。
少し元気になったので、もう少しここで暮らしてみたい。また何か出来たら見てほしい。」
と笑顔で話してくださいました。
ご入居者の居室に訪問した際、ハーモニカが置いてあるのを発見しました。
吹いていただくと、とても上手で、毎回訪問する度にお願いするととても喜ばれました。
ご入居者のご家族によるハーモニカ演奏会での発表を提案すると、
一生懸命練習を重ねられました。
それどころか、それまでは居室にこもりがちだったのに、
ピアノ演奏会やコーラスの練習に参加するようになり、積極的になられました。
ハーモニカ演奏会当日は、「ふるさと」を演奏者と3人で発表し、
アンコールとして「ダニーボーイ」を自ら吹いてくださいました。
ご本人は「95歳でこんなに楽しいことがあるとは思わなかった。」と喜ばれ、
ご家族も大変驚いていらっしゃいました。
これからもご入居者の細かいサインを見逃さずにケアにあたっていきたいです。
居室ばかりで過ごされているご入居者に、
少しでも外の空気を吸っていただけるためには何か良いアクティビティはないかと考えました。
以前、家庭菜園をしていた事を楽しそうにお話ししていたのを思い出し、
住宅の屋上で、きゅうりとトマトを育てることにしました。
植え方や、水やりのタイミング、芽ひきのやり方等すべてを教えてくださり、
「午前中太陽が出る前に水やりをするのよ」
と自ら屋上へ出向き、毎日水やりをしてくださいました。
結果、立派なきゅうりとトマトが収穫でき、
「今度は何を作ろうか?」と、意欲的なお言葉も聞くことができました。
とても楽しそうで、活々とした表情をされており、私も嬉しく感じました。